梅雨明け宣言が出て間もない8月初め。夏の渓のイワナ釣りとして、黒四ダム上流の黒部川を訪れた。
メンバーは三堀浩行と私の二人。ルートはアルペンルートのトロリーバスを使って黒四ダムへ、ダムからは、ひたすら歩いてバックウォーター上流の奥黒部ヒュッテへ。そして奥黒部ヒュッテをベースに黒部川や東沢谷でイワナ釣りを楽しむというもの。
*いざ黒部へ*
7時半の扇沢発のトロリーバスに乗込み、約15分で黒四ダムに到着。ここからダムサイドの登山道を歩くしかないのだが、崩壊した場所には梯子が設けられており、この上り下りが運動不足の我々にはかなりきついものがあった。だらだらと4時間近くかかって平の渡しへ到着。
12時の渡しの船で対岸の針ノ木谷川に渡り、再びアップダウンのきつい登山道を上流に向かうこと2時間半でやっと奥黒部ヒュッテに到着。初日はこれで十分と、風呂で汗を流してビールを飲んで、終了となった。この日、天候は晴れ。しかし、山々の上には発達した積乱雲があり、夕方から雷雨となり、不安定な天候へと変化していった。
*2日目*
朝の天候は曇り。しかし、雲は低く、今にも降り出しそうだった。午後2時頃には戻ると小屋に告げて、奥黒部ヒュッテから脇を流れる東沢谷を少し下って、黒部川へと出た。小屋の話では水量が今年は多いということだったが、目の前を流れる黒部川は「徒渉できるの?」と思わざるを得ない水量だった。
しかし、徒渉しなければ上流に行けないため、意を決して冷たい流れの中に腰上まで浸かって、どうにか徒渉。最後はつま先立ちで、下流に流され気味だった。熊ノ沢合流点をすぎてから、パックロッドを継ぎ、釣りを開始する。要所要所からイワナはヒットするのだが、サイズはいまいち。小屋から近いこともあり、致し方ないところか。
増水気味の黒部川は手強かった。徒渉したくても、徒渉する場所がなく、高巻かなければならない箇所もあった。無邪気にミノーを追ってくるイワナと遊びながら、どうにか上ノ廊下の入口にあたる下の黒ビンガに到着。圧倒的な岩壁がそびえ立ち、ここから厳しいゴルジュが始まることを示していた。なんちゃって渓流マンの我々は、ここで、この水量では進むことは不可能と判断。すでに12時を回っていたこともあり、小屋に戻ることにした。
天候は相変わらず小雨が降ったり止んだり。しかし、あと30分で小屋というあたりから、大粒の雨が激しく降り出し、更に増水した黒部川の徒渉を難しくした。微妙な徒渉をした箇所は徒渉不可能となったため、ザイルを使いながら泳いで渡って、どうにかクリア。緊張した一時から解放され、小屋に向かう途中から見た東沢谷は、見る見る濁流とかし、きわどいタイミングだったことを告げていた。
*3日目撤収*
早朝の天候は小雨。雨があがった7時過ぎ、東沢谷を釣るために、小屋から読売新道を少しいったところからの踏み跡を使って、東沢谷に降り立った。しかし、前日の雷雨の影響で、水はクリアなのだが白泡だらけの激しい流れがそこにあった。結局、東沢谷は断念。潔く小屋に戻った我々は、今日は下流の平の小屋に泊まって、ヌクイ谷で釣りをすることに計画変更。青空が見え隠れし始めた中、ザックを背負って、再びアップダウンのきつい登山道を下った。